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辰之輔ターン1・ふたたび出会う、ということ
考えてみたら、引っ越し初日の告白は正解やった。
我ながら、あのタイミングでの勢いなしには 絶対に、踏みきれんかったやろうし。
ーーずっと好きやったみたい!です!君のこと!!
かァァァ。あっつ!
ーーごめんなさい…。わたし、好きな人、います。
がっくし。
いやいや、あぶなかった、あぶなかった。後で聞いたら、高校一緒やし。
夏休みで救われた。タイムラグに感謝。
もちろん、8年ぶりの再会で「わたしも好き!」とかなる訳ないっちゅうのは分かってたし。
好きな人とか、カレシとかの予想もしてたけど。「おともだちから」的な展開に希望を託したんやけどな。
取り敢えず、タイムラグに感謝やな。
[県立 東高等学校]
ーーどんっ!!
「いった!」
「す、すみませ〜ん。お怪我ないですか?
よかった!
キャー キター!!ごめんなさい、今急いでて!!」
「はあ。こっちは別に、大丈夫やけど。」
ムカ。朝から何や、落ち着きのない。お怪我ないですか、て!傘の先っちょ、目ぇ刺さるか思たわ!
ん⁈何の騒ぎや。みんな おんなじ学校の制服。何ではよ、歩いて行かへんねん?ただでさえ、雨で 傘、ウザイねんぞ。
ーーキャーっ
ーー夏休み明け、久々の瑞稀先輩!かっこいいー!!
ーーヤバイ!やっぱスーパーかっこいい!!東高の『殿堂入り王子』ヤバすぎだよ!
ーーあのルックスで、頭脳明晰・スポーツ万能って!!ヨメにしてーっ!
ちょ、だから傘あぶないし!
何?なんの『殿堂入り』て?
えー、ホンマにこんなノリてあんねや。
この学校の男子、このカンジ 許してええんか?
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