40人が本棚に入れています
本棚に追加
何も考えないようにしながら部屋着にしているワンピースを着て、何も考えないようにしながら松田の部屋に向かった。インターホンを押す。すぐに扉が開いて出てきた腕に引きずり込まれる。
小柄な由香奈の体をほとんど吊り上げるようにしながら松田はキスをしてきた。足元のサンダルが滑り落ちる。そのまま唇を重ねて押しやられるようにしながら短い廊下の先のリビングまで、由香奈は後ずさりした。
ラグの端がかかとにひっかかる。転びそうになってひやりとする。束の間、背中と膝裏を抱き上げられた感覚、直後にはテレビの前に押し倒されていた。カーテンを閉じた室内をテレビ画面の鈍い光が照らしている。
とっくに侵入していた舌がさらに深く由香奈の舌に絡みつく。彼と同じように息を乱しながら由香奈は涙がにじんだ瞳で、ニュース番組の女性キャスターの賢そうな顔を見上げた。音量は落とされていて、何を話しているかはよく聞き取れない。執拗なキスでもう頭がぼんやりしている。
ワンピースの長い裾をたくし上げて足を露わにされる。なんのためらいもなく男の手が下着の中に入ってくる。けれどその指は、急にいたわるような手つきでそうっと由香奈の割れ目をなぞる。
いちばん初めに乱暴にされたとき、由香奈は本気で苦痛の悲鳴を上げてしまった。それから松田は最初の愛撫は妙な優しさでもって時間をかける。最終的にすることは同じなのに。
上下する指が段々と深くなってクリトリスを刺激する。その頃には滑りが良くなり刺激はただ心地いい。由香奈はびくりと膝を立てて反応する。くるくると指を回され感じるたびに中から波が来る。
軽くそれを繰り返した後、由香奈はこらえきれずに顔を背けながら声をもらした。内ももを突っ張らせて足を震わせる。ようやく解放されたくちびるから声にならない吐息を吐き出す。
落ち着く間もなく、指がつぷんと中へと滑り込む。なんの苦も無く太い二本の指がぬちぬちと内側を進む。
「あ、や……」
まだ息を整えてもいなかったのに。苦しくて由香奈はいやいやと首を振る。もがく足をものともしないで指先がクリトリスの裏側を軽く押す。さっきとは違う鈍い快感に由香奈の頭はじんとしびれる。からだで感じる快楽の度合いと共にくちゅくちゅいう音が大きくなる。本当にもう何も考えられない。
(気持ちいい……)
最初のコメントを投稿しよう!