真夜中の論争 5

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「雄賀多さんは、この後、時間空いてたりします?」  女の子がするように甘えた声で聞いてみる。胸はないから谷間はないけど、気持ちだけ寄せてみた。 「ちょっとアカネ、また今日も行くつもりかよ」  隣にいた風太がリーマンたちに聞こえないように小声で話しかけてくる。 「風太には関係ないでしょ。オレはヤりてぇんだよ」 「だからってそんな見境なくヤらなくてもいいだろ。俺への当てつけ?」  風太は珍しく食い下がらなかった。どうしても行かせたくないのか、手首をかなり強くつかんでくる。 「風太はオレには勃たないから、しょーがないだろ」 「ちがっ……「なーにー? ケンカ? 仲悪いの君ら」  茶髪の……あー興味ねぇから名前忘れた。ペラペラ喋るやつ、同属嫌悪? って言うんだっけ? その言葉の意味のまま、コイツ嫌いだ。 「いいえーケンカするほど仲良いって言うじゃないですか。仲良しですよオレら」  オレは風太に抱きついた。風太はそれすらも気に入らないみたいで、抱き返してこない。まぁいいけど。 「抱きつくこと自体、抵抗ないの?」  雄賀多さんがゆっくりと立ち上がって、オレの隣に立った。 「僕にも抱きついて欲しいな?」 「オレでよければ、もちろんですっ!」  むぎゅっと遠慮なく抱きついた。ジムに行ってるのか、筋肉が付いていて思った以上に硬かった。なんだ、ぷにぷにのビール腹だと思ったらそうじゃない。  抱きついて上を見上げれば、雄賀多さんと目が合う。ふふっと微笑まれ、大人の魅力にやられたオレは心臓がドキドキしていた。  つい最近、タチネコ直感が外れたばっかりだけど、今度は当たる気がする。
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