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真夏の夜、ナイトプールが閉園した後は階下のホテルでエッチをする。今日ターゲットロックオンした雄賀多さんの後について行き、シャワー浴びる前にベッドへ誘うように寝転んだ。
「アカネちゃんってさ、N高だった?」
「えっ……?」
そんな過去の話なんて話していない。どうしてオレの出身校を知っているんだろう? 今さらだけど、急に怖くなったのと嫌な予感がした。
「用事を思い出した!」
なんてバレバレのウソをついて部屋のドアへ全速力で走った。
「やっぱそうなんだ。まぁ調べたからなんだけどね」
狭いホテルの一室。足をかけられてハデに転んだ。立ち上がろうとすれば、ふくらはぎを踏まれて立てなくなる。
「調べた? 何を? オレ? オレこんな格好してるけど不良じゃない! 人違いだ!!」
ケンカは痛いからしたことがない。柔道の授業は適当にやっていたから、どう抵抗したらいいのかわからない。初めて力でねじ伏せられて、頭の中がパニックになった。身体の動かし方もわからなくなる。
「人違いじゃないよ。米原暁音」
雄賀多は気持ち悪いほど、キレイに笑った。
「なんでオレの本名知ってんの……」
この人たちにはアカネしか教えていない。きっと風太もオレの本名を知らないだろう。
「僕は何でも知ってるよ」
雄賀多の踏む力が強くなる。
「え?」
怖い、怖い、怖い。オレは雄賀多のことを何も知らなくて、向こうはオレのことを調べ上げている。そんな状況、今まで一度もあったことがない。大人を舐め腐っていた。
恐怖で踏まれているふくらはぎが震えだし、風太の顔が頭をよぎった
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