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真夜中の論争 4
「どうしたの? アカネ。彼女みたいに抱いていいんだよ」
「いやいや、ふうくんこそ気を遣わないでオレを好き放題していいんだぜ?」
「え……いや……嘘でしょ……」
風太がビックリした顔でこっちを見てる。わなわなと体を震わせながら……。
「なんで……? 俺が初めてじゃないの?」
現実を受け止めきれない様子で、未だに困惑したままオレに聞いてくる風太。そんなオレも現実を受け止めきれていない。
「は、初めてだけど、男同士のやり方ググって、そ、のあの……こっち側かなって……」
「いや、別に調べるのはいいんだけど……」
これ以上、このまま抱き合うこと自体バカらしくなってきて一旦離れてベッドに座る。オレと風太の距離感はなんとも言えない気まずい距離感。隣で風太はため息をつきながら頭を抱えこんで悩んでいた。オレも頭を抱えたいぐらいだ。
こんなにも趣味や好きな食べ物の好みとか何もかも気が合うのに、まさかエッチの立ち位置まで気が合うなんて思いもしなかった。というか、むしろそこまで同じとかいらないぐらいだ。
風太がごろんとベッドに寝転がり大の字になった。
「あーもう、今日すっごく楽しみにして来たのに! 最悪……。だって、アカネ。初めて会った時、彼女いたしヤンチャっぽいじゃん。絶対タチかと思ってたーっか騙したでしょ?」
「はぁ? オレだって楽しみにしてたわ。彼女じゃなくて妹だし、オレだって風太はプライド高そうだから絶対タチだと思ったんだよ! それに勉強してる時、メガネかけてたし……」
「普通、メガネかけてたら受けでしょ! プライド高そうだからこそ、ぐずぐずに泣かせたいとか思わない?」
「オレの中では攻めなんだよ! メガネ外したら本気モード的な!」
「メガネぐらい誰だってかけるよ。目が悪いだけなんだから。それにヤンキーが受けなのは王道でしょ」
「っか……」
「そもそも……」
「「紛らわしい行動すんなよ」」
まるで双子みたいに声がハモった。それすらもおかしく感じて笑いが込み上げてくる。
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