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「美結はそんなこと気にしなくていいんだよ」
「気にするよっ。私のせいで想の成績が下がったりしたら――」
「そんなこと、ないから」
少し強めの口調で遮った。
「美結を理由にして今より落ちるところなんてない。だから、今までと何かを変える必要なんてないよ。変わるなって言ってるんじゃない。無理するなって言ってる。電話したいときはすぐにして。俺に言いたいことがあったら我慢しないで。
あ、他の奴らにはこんなこと言わないよ? 勉強中に邪魔にならないのは、美結だけだから。美結は、俺にとっては勉強より大事ってこと。だから……な?」
美結の手を握っているのとは反対の手で、美結の頬を伝う雫をぬぐう。
どれだけ泣いて、美結はここに来てくれたんだろう。
どれほど涙を流して、僕の隣にいてくれたんだろう。
……美結の涙は、綺麗だ。
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