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六
冬休みに入ると、光樹に連れられて演劇を観に行った。
小さな劇場での、小さな劇団の劇。
そのとき光樹が声優じゃなくて舞台役者になりたいということを初めて聞いた。
俺は将来なにをしたいかなんて特にない。
一般常識だけ身につけて普通の会社員になるんだろうなと思う。
光樹は学校では部活、自宅で声劇、演劇も頻繁に鑑賞しているらしい。
夢に情熱的なようには見えないのに淡々と真剣に夢に向かう光樹に、惚れ直した。
クリスマスのイルミネーション見に行ったり初詣に一緒に行ったり、年末年始のイベントが終わってから、リベンジで光樹を家に呼んだ。
キスしたり触り合ったり、最初はそれだけで充分だって思ってたけど、やたら光樹が積極的で、結局その日に最後までやった。
スポーツしてないのに光樹は意外とがっちりとした身体つきをしていて、それは光樹の強い心のようでなんか綺麗だなって思った。
同性の上擦った喘ぎに欲情した自分に、なんか驚いた。
甘えてきても基本しっかりしてる光樹がいざそのときになったらちょっと震えて泣きそうになってて、光樹はホントに大事にしないといけないなって痛感して、一層惚れた。
光樹は正直辛さを耐えるのに精一杯だったらしいが、気持ちは満ち足りてるし俺が良かったならそれでいいと言った。
光樹が好きすぎて困る。
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