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 遠田には光樹から話をしてもらった。  引っ越しが済むとアパートに遠田が来て、茶化して悪かったと謝ってくる。 「鷹沢元々女好きだろ? 俺のせいで男好きにしたようなもんで、すごい罪悪感あるんだけど」 「いや、そこ全然気にしてなかったから。俺の光樹になにしてんだって胸ぐら(つか)まれるかと思った」  見るからにラグビー部員な身長百九十超えの遠田に本気になられたら怖いなーと思ってたが、大丈夫なようだ。 「光樹はなー、小学校のころから男好きだから、いつか男と付き合うんだろうなーとは思ってたから。いけ好かないヤローが手ぇ出したら掴みかかってたけど、鷹沢なら安心」 「あぁやっぱり掴みかかるんだ」  他の誰にも言ってなかった付き合いを友人にあっさり受け入れられて、俺もなんか安心した。  小学校のころからって、今まで光樹、いろいろ悩んだりとかしてなかったのかな。  光樹のことだからなんでもうまくかわしてそうな気もするが、悩んでても表に出してないっていうのも、ありえるよな。  光樹に告られたとき、『遠くから憧れているだけで充分だった』って言ってた。  今まで誰かを好きになっても遠くから見てるだけだったのかも知れない。  もし弱音があるなら、俺には吐いて欲しいかも。
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