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 結局、大学入ってから夏季休暇なかばの八月上旬まで、光樹と直接会うことはなかった。  でも電話したりほぼ毎日アップロードされる光樹の声劇を聴いたりしていたから、離れた感はなかった。  光樹は今年も文化祭で女役をするという。  女子の部員も大勢いるが、実力とウケ狙いでヒロインをあてがわれたそうだ。  たぶん来年もヒロインをするんだろう。  お盆には実家に帰ると言ったのに、光樹は部活動が休みになると間もなく俺のアパートに遊びに来ると言い出した。  遠いけど交通費は新幹線使わなきゃそれほど高くはない、会えるならすぐにでも会いたいそうだ。  春休みのときのように遠田と口裏合わせて、光樹がアパートに訪れる。  チャイムが鳴って、玄関を開ける。 「え?」  向けた視線の先に光樹の顔はなく、視線を上げると、背が高く凛々しい男の顔。 「こんばんは」  光樹が来ると知っていたから、こいつが光樹なのだと無理矢理判断した。  けど、さすがにそうすぐには納得できないほど、光樹が劇的に、成長していた。
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