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十三
相当好きなままで別れるから、今後の障害にならないよう絶対に復縁しないと約束し合った。
予定通り遠田と落ち合い、遠距離は無理だったと別れた報告をする。
遠田は復縁しない約束を反故にしないよう、両方を監視してやると言ってくれた。
うっかり光樹に迷惑かけないで済む、助かる。
地元に向かう電車内、俺は浮かされた熱が下がったように光樹に欲情も困惑もせず、隣に掛けて安堵感を味わっていた。
恋人契約を断ち切っただけで、だいぶ意識が変わってしまった。
光樹にもうすがることはできないが、光樹に負荷をかけるより、それで自分が神経すり減らすより、何倍もマシだろう。
元気なさげだった光樹は、俺がカラ元気で遠田と話しているとしばらくたって会話に混ざり出す。
その横顔は強そうに見えて甘えたがりな高校二年の少年で、光樹はただのかわいい後輩なのだと、自分に強く言い聞かせた。
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