十三

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 その後しばらくは恋愛をすることに臆病になった。  カミングアウトしてるから俺が別れたことを聞きつけた男に告られたりしたが、付き合うことがしんどくて全部断った。  三年たって人恋しくなって、男に惚れてネコになった。  毎日のように会えるせいか、恋しさがあまって自分が自分でなくなるような感覚が生じることはなかった。  早めに光樹と別れておいてよかったと思った。  光樹とは合わなかった、俺はタチではなかったんだって。  大学を出て警察官になり、警察学校に通ったのちに地元の交番勤務となった。  東京の大学に行った光樹とはずっと会えていない。  物理的な距離が縮まる気配がない。  なんだかんだで光樹のことを思い出して、そのたびに別れて正解だったのだと自分を納得させる。  光樹は今でもがっつり役者を目指しているそうで、大学四年で実写版BLゲームの登場人物を演じたと遠田に教えられた。  男前な光樹がネコになってるストーリーをいくつかやってみて、俺もこうすればよかったのかなと今さら学習したりした。  いろいろ思い返すが後悔とか全然してなくて。  つらかったり傷つけたり痛々しかったと記憶しているのに、ひたすら愛しかった記憶のほうが強くて、すべてが得難い貴重な青春だったとしか思えない。  光樹と付き合えて、よかった。 了
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