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二
ラグビー部室には俺を学食に呼び出した遠田龍樹が、すでに部活の準備を終えて待機していた。
「光樹、ちゃんと学食にいた?」
ゴリゴリのラグビー部員な遠田から光樹と同じ成分がまったく見当たらず、おまえらホントに兄弟なのかと疑いたくなる。
「いたけどさ、かわいそうだろ。告白する気なかったって言ってたぞ」
兄の暴挙のおかげで光樹は俺に告白せざるを得なくなった。
ベンチに座っていた遠田は、立ち上がって訴える。
「でもさ、俺の気持ちも考えて?!」
「なに、遠田も俺が好きなの?」
「俺しょっちゅう光樹に鷹沢がカッコいいとか優しそうとか色っぽいとか好きだとか聞かされてんだぞ。うるさいからさっさと告白しろよってなるだろ?」
そーなの?
光樹意外とオープンな性格してるな。
「告白されても困るんだけどな」
「別にあれ、アイドルにキャーキャー言ってんのと同じだろ。キャーキャーされてろよ」
んん?
そうだったか?
「友達からお願いしますみたいに言われたけど」
遠田はそこで動きを止めて考え込む。
そして笑顔で、俺の肩を叩いた。
「ドンマイ! 鷹沢ホンモノのアイドルじゃねーし、せっかくだからカラオケとか誘ってやって。光樹超喜ぶよ」
遠田は深く考えてなかったが、光樹はきっかけつかんで深い仲を望んだってことなのだろうか。
光樹が超喜ぶ、少ししか話してないのに、すごいわかるんだよなー。
喜ぶなら誘ってやりたい気もするが、ぬか喜びさせても悪いかな。
とか思いつつ、カラオケ大好きな俺は、自分の趣味七割光樹の笑顔三割くらいの気分で、日曜の午後に光樹とカラオケの約束を取り付けた。
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