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三
二人で思う存分歌って、夕飯前には家に帰ってきた。
遊びに行ったっていうか本気で歌を歌ってきた感覚で、楽しかったってよりも面白かったって感がある。
飯を食ってから例の音楽SNSのアプリを開き、さっそく光樹の声劇を聴いてみた。
なんか、素人じゃなかった。
あいつっぽいかわいい少年を演じたものもあったが、温和な大人の男とか、気性が激しいやつとか、とぼけて間の抜けた軽いのだとか、いろんなタイプの語りを完璧に演じている。
光樹が本来どういう姿形をしていたのか、一瞬見失う。
ジュリエットが美人に見えたのはたぶん、この演技力だ。
チビで俺の言動に過剰に喜ぶ変わったやつなのに、尊敬の念すら湧いてくる。
何個も声劇を聴いていると、光樹の声劇の中に『ユニット可能』となっているものがあった。
ユニットとは、カラオケするならデュエットとかハモりを、声劇なら登場人物が複数で他の役の声を重ね録りできる機能。
デュエットはしょっちゅうしてるけど、俺は声劇自体したことがない。
けど、なんか興味あるなー。
歌だと知らなかったら音程とリズム覚えなきゃなんないけど、声劇なら文章読めばいいんだし。
俺がユニットしたら光樹、また喜ぶんじゃないかな。
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