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 光樹は部屋に入ってきたときのように驚いた顔をして俺を見る。  そしてすぐに、目を伏せた。 「やっぱり、男を好きになるのは、困るよね」 「いや違う、そういうわけじゃない」  慌てて否定する。  口は動く、ホント、そういうわけじゃない。 「どうしようって俺に聞かれてもな。俺も好きです付き合って下さいって、言っていいの?」 「そうか。そうだな、そうするか」  急に湧き上がったデカすぎる感情、どうすりゃいいのかワケわかんなくなってたけど、両想いだから迷わず付き合えばいいんじゃないか。  再度驚く光樹を、座ったままふところに抱き寄せてみる。  なんかもう、ホント好き、それしかない。 「なんなの急に」  自分にツッコミを入れてホント好きを堪能していると、 「春斗さん」  ふところから光樹が声をあげた。  抱き寄せた腕を解くと、光樹は深く息を吐いてから顔をこちらに向ける。  頬が赤らみ瞳が潤んで見えて、かわいい、じゃない、色気がある、ような。 「なんか俺、ちょっとおかしいよな」  光樹に見惚れつつボーッとしたままつぶやくと、光樹は神妙な表情で俺をうかがう。 「うん。急にどうしたの」 「あー、スゲーしっかりしてるのにかわいいヤツが(なつ)いてくるとか、好きってなるの当然じゃない?」 「俺、かわいくないでしょ。顔も性格もかわいくないって、自分では思ってるんだけど」  まぁ、ぱっと見普通の少年で性格もきっちりしてそうだけどな、俺から見たらそうでもない。 「笑った顔かわいいだろ。性格イケメンなのになんとなく甘えたなとこもかわいい」  言うと光樹は俺の背後に回って、背中にもたれて抱きしめてきた。 「甘えていいの?」 「なんだ、甘えちゃまずいって気ぃ張ってんのか? 甘えればいいだろ。いや、甘えて、それ好きだから」  光樹は俺の背中に頬をすり寄せて、笑った。 「嬉しい。ありがとう」
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