26人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
マジか⁈
『助けてください』と、苦しそうなうめき声を出している人は頭にぐるぐる包帯を巻き、その包帯には真っ赤な血がにじみ出ていた。
「大丈夫ですか?どうしたんですか?」
とりあえず、せっかく近くまで来たので私は、その人に声をかけた。
「あああ・・・ありがとうございます。助けてくれるんですね?」
「助けるって・・・どうすればいいんですか?」
「包帯を巻かれていて前がよく見えないんです。でも頭に大ケガをしていて包帯をとるのは不安なんです。」
「じゃあ、病院まで一緒に行きましょうか?」
「行きたいけど、オレ、まったくお金持ってないんです。」
「お金?大ケガしてるんでしょう?お金は後でもいいんじゃないですか?」
「後で払えるお金もないんです。」
「じゃ、あなたは今、私に何を手伝ってほしいんですか?」
「恥ずかしいけど・・・・とりあえずトイレに連れて行ってもらえませんか?もう、がまんできなくて、一回はオシッコでちゃった・・・・」
よく見ると、彼のジーパンはベチョベチョに濡れ、足元に黄色い水がたまっていた。ああ、これじゃ誰も助けないかも、と思った。
最初のコメントを投稿しよう!