マジか⁈

1/1
26人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ

マジか⁈

『助けてください』と、苦しそうなうめき声を出している人は頭にぐるぐる包帯を巻き、その包帯には真っ赤な血がにじみ出ていた。 「大丈夫ですか?どうしたんですか?」 とりあえず、せっかく近くまで来たので私は、その人に声をかけた。 「あああ・・・ありがとうございます。助けてくれるんですね?」 「助けるって・・・どうすればいいんですか?」 「包帯を巻かれていて前がよく見えないんです。でも頭に大ケガをしていて包帯をとるのは不安なんです。」 「じゃあ、病院まで一緒に行きましょうか?」 「行きたいけど、オレ、まったくお金持ってないんです。」 「お金?大ケガしてるんでしょう?お金は後でもいいんじゃないですか?」 「後で払えるお金もないんです。」 「じゃ、あなたは今、私に何を手伝ってほしいんですか?」 「恥ずかしいけど・・・・とりあえずトイレに連れて行ってもらえませんか?もう、がまんできなくて、一回はオシッコでちゃった・・・・」 よく見ると、彼のジーパンはベチョベチョに濡れ、足元に黄色い水がたまっていた。ああ、これじゃ誰も助けないかも、と思った。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!