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2+1=にぎやか
大学から戻る途中、人ごみの中で歌ってる人やギターを弾いてる人、ビラを配っている人、アクセサリーを売っている人などを見た。ほとんどの人々は、彼らの存在を気にも留めず歩き過ぎて行く。
『そっかー。都会では人ごみの中では自分の目的に向かって歩くことに専念するというのが無言のルールなんだ。』
今さら悟っても遅い。ナオヤはきっと、じいちゃんの仏間で眠っている。
家に帰ると、ナオヤは包帯をはずし、じいちゃんの肩を揉んでいた。目の周辺は赤紫に腫れ上がっていたが、私を見ると
「ああ・・・オレを助けてくれた人ですか?」
少し微笑んで聞いた。
「目は見えるようになったの?」
「お蔭様で。ぐっすり眠ったら見えるようになりました。」
そう話すナオヤは、どう見ても16歳には見えなかった。
「ナオヤ、本当はいくつ?」
「16歳」
「本当のこと言って。」
「16歳に見えませんか?」
「見えない。どう見ても25歳以上にしか見えない。」
じいちゃんが笑って言った。
「何歳でもいいじゃないか。ミカだって、とても18歳には見えないぞ。」
「じゃあ何歳に見えるのよ?」
「ま・・・中学1年ってとこかな。」
「ふん!」
私は二階の自分の部屋に行った。いつもはじいちゃんと二人なので、あまり話しもしないのだが、ナオヤがいるだけで家の中はにぎやかになった。
お風呂に入ったら、ちょっとだけ風呂場がきれいになっていた。
「さっきお風呂掃除したから。」
ナオヤがわざわざドアの近くで声をかけた。
「エッチ。来ないで。」
「いいじゃないか。オレのは見ちゃったくせに。」
「見たくもないのに見せられただけ。セクハラだわ。」
「そうかな?見たくないってホント?ホントは見たいでしょ?」
「変態!あっち行ってよ。好きでもない男のキモイモノなんて見たくないわよ。」
「好きな男のなら見たいの?」
「ああ・・・もう・・・助けなきゃよかった!マジキモ」
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