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 日曜は、朝から雨だった。  花火大会はもちろん中止だった。  だけど、オレは決めていた。  同じ時間に、必ずあそこへ行こうと。    オレは彼女に来てほしいと伝えた。  今日は花火が上がらない。  だからたぶん、彼女も来ることはない。  それでもあそこで待っていたかった。  だから、日曜の夜、雨のなか傘を差して、ひとりで土手沿いの道を目指した。  八時三十分。  そして、彼女が走ってきた。
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