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葬式の時、私は参列者の中に、不思議な白い影を見た。
何となく、それを追いかけると、気づけば私は銀世界に出ていた。
「あなた……似ているわ。あの時の、あの子に。」
いつの間にか隣にいた先程の影に、話しかけられる。
眩いほどに美しい女性だった。白装束に、雪のような白い肌。天然に秘められた氷のように澄んだ瞳――
「あの子って、おばあちゃんのことですか?」
「ええ。さっき骨になったあの子のことよ。」
年の頃は十七、八と見えるその女性は、生き物にしては完成されすぎた笑みを浮かべる。
「あなたは……雪女、なんですか。おばあちゃんと、会ったことあるんですか。」
「ふふっ、そうね。私は雪女よ。ぽっかり空いた人の心を、氷で埋めてあげるの。彼女と会ったのも、彼女が大切な人を亡くして、途方に暮れていたとき……」
「それって……」
「ちょっと、私に質問ばっかりしてないで、あなたのことも話してよ。」
雪女と名乗った美女が、私に顔を近づけた。凍てつけるような冷気が伝わり、やっぱりこの人は、人じゃあ、生き物じゃあないんだと自覚し、そして、そのことに安心感を覚えた。
私の話……私の話……
「何を話せばいいの?って顔をしているわね。なら私が質問するわ。聞きたいことはたくさんあるの。」
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