雪女の満たされない穴。

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子どもの頃、雪女の話をよく聞いた。 お盆に父親の実家に行った時のことであった。確か、テレビの特集か何かに影響されて、当時そこに住んでいた叔祖母に、怪談をせがんだのがきっかけだったと思う。それから叔祖母は、寝る前にいつもその話をしてくれた。 夏休みなのに雪女だなんて、おかしいと思った。けれど、叔祖母のする雪女の話には、もっとおかしいことがあった。 「雪女はね、それはそれは綺麗でね、穢れのない白雪のように白く美しい肌と、湖の氷のように深く透き通った目を持っていてね……」 それは、叔祖母が話していた雪女の怪談は怪談などではなく、美しい雪女がいかに美しいかという話だった、ということだ。 叔祖母は雪女に心酔しているらしく……子どもながらに、還暦も間近である彼女の口ぶりが、恋でもしているように感じてしまった。 私は、叔祖母のする雪女の話に夢中になった。
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