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「そんなに抵抗するなって。」
男は私の抵抗などなんでもないかのように笑った。
「それじゃ、こっちにきてもらおうか。」
酒に焼けた、しゃがれ声。
「心配ないぜ、嬢ちゃん。すぐに終わる。ただちょーっと、痛いだけだ。」
後ろの男がそれはそれは楽しそうにそういった。掴まれた腕の反対側から、少女の耳元で。ゾワリ、と鳥肌がたった。
こんな男たちに、私は。
グイッ…!!
強い力で手を引かれた。向かう先は、きっと路地裏の花街だろう。
「いやっ!離して!!!誰かーーー!!」
このままでは、私は…!
お母様、お父様…、誰か、助けて!
どうか、誰でもいいから。
私は今まで以上にめいいっぱい抵抗をし、大声をあげた。周りの人間と目が合う。
しかしすぐに目をそらしそそくさと逃げていく。助けは期待できそうもなかった。
「おいこら、おとなしくしろよ!!」
男が鬱陶しそうにもう片方の手も片手で掴んだ。そばにいた仲間も、取りおさえるように手を伸ばしてきた。
あぁ、もう終わりだ。
そう思った時、あたりでざわめきが起こった。
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