『いかない』

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 ――やっぱり、どこをどう探しても見付からない。  普段必要ない時には、これでもかってくらい目につくのに、いざとなると隠れてしまうのは何故だろう。  あれに遺志があるのか、はたまた私が片付けていないから悪いのかは分からない。けど、だからって必要な時になくなるっていう寸法は、ちょっと酷くないかな。  しかも、散々探してないからって、仕方なく諦めて新しいのを見付けた途端、前のが出てくるでしょ。  何だか遊ばれているみたいで、妙に癪に障る。  だからもう一度、今度こそと考えて部屋中ひっくり返して探してみたけど、やっぱりどこにも見付からない。  ちくしょう。一体どこに行ったんだよ、消しゴムのやつ。  そりゃあ確かに私、書き物をする時は多少消しゴムの事を乱暴に扱ってたよ? 結構ごしごしこする方だし、部分的に消したい箇所もあったから、とんとん叩きながら巧みに陰影とか付けて、消したりしてさぁ。  そんでもって消しゴムアートとかにも夢中だから、カッターで削ったり切ったり削いだりしたけどさぁ。  え。だからいなくなったの? 違うよね? だって、消しゴムって物だよ? 意思とかなくない?  普通に私がなくしただけだよね?  ていうか、逆に、消しゴムに意思があったら目茶苦茶怖いんですけど。
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