5人が本棚に入れています
本棚に追加
――やっぱり、どこをどう探しても見付からない。
普段必要ない時には、これでもかってくらい目につくのに、いざとなると隠れてしまうのは何故だろう。
あれに遺志があるのか、はたまた私が片付けていないから悪いのかは分からない。けど、だからって必要な時になくなるっていう寸法は、ちょっと酷くないかな。
しかも、散々探してないからって、仕方なく諦めて新しいのを見付けた途端、前のが出てくるでしょ。
何だか遊ばれているみたいで、妙に癪に障る。
だからもう一度、今度こそと考えて部屋中ひっくり返して探してみたけど、やっぱりどこにも見付からない。
ちくしょう。一体どこに行ったんだよ、消しゴムのやつ。
そりゃあ確かに私、書き物をする時は多少消しゴムの事を乱暴に扱ってたよ? 結構ごしごしこする方だし、部分的に消したい箇所もあったから、とんとん叩きながら巧みに陰影とか付けて、消したりしてさぁ。
そんでもって消しゴムアートとかにも夢中だから、カッターで削ったり切ったり削いだりしたけどさぁ。
え。だからいなくなったの? 違うよね? だって、消しゴムって物だよ? 意思とかなくない?
普通に私がなくしただけだよね?
ていうか、逆に、消しゴムに意思があったら目茶苦茶怖いんですけど。
最初のコメントを投稿しよう!