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ナナミちゃんとはエレベーター前で別れて自席に向かうと、その手前の複合機に田中さんがいるのが見えた。
昨夜はあんなに遅かったのに、早くから出勤してもう仕事をしている。
ギリギリまで寝て慌てて出勤する、自分に甘い私とはやっぱり違うな。
感心すると同時に、昨日の今日でどんな風に顔を合わせたらいいのか迷っていると、顔を上げた田中さんと目が合った。
頭の中があの時の会話と田中さんの顔で溢れ返り、顔が紅潮するのがわかる。
「おはようございます」
軽く頭を下げて挨拶をしてみるけど、意識し過ぎてしまい、自然にできている自信はない。
「おはよう」
挨拶をし返してくれる田中さんは至って普通。軽く微笑んでくれるけど、それはいつもと変わらない。
もしかして昨日の話は夢だった?
ひとりで意識して何だか恥ずかしいな……
ドキドキが収まらないまま席についた。
パソコンを立ち上げながら、席へ戻る田中さんを目で追ってしまう。
いけない、もう仕事が始まるのにこんな事ばっかり考えて。
困ったな…
これはやっぱり恋をしているのかも。
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