彩日記〜アヤの恋愛備忘録・２〜

恋の入り口？

（※このページを差し替えました。最初にアップした場面は2ページ先です。）

私の気持ちは田中さんに傾き出している。

田中さんとの関係を進めるならば、やらなければならない事がいくつかある。

ひとつは、ユウキとの関係を完全に解消すること。

ユカに忠告される前からどんなに仲良くなってもヨリを戻さないと決めていたし、好きになってはいけないと思ってきた。

実際に今、私の中に恋愛感情はない。

もちろん、ユウキに彼女ができたら友人関係を解消しようとは思っていたけど、思いがけず、先に私の状況が変わってきた。

もし田中さんと付き合うことになったら、元カレと連絡を取り合うなんて不誠実な事はできない。もちろんユウキに対しても失礼。

LINEの返信も敢えて短く簡単に済ませ、たまに来るお酒の誘いも何だかんだと理由をつけてはぐらかした。

それでもやっぱりユウキは優しい。

時折、体調を気遣ったり、仕事の心配をする言葉が送られてくる。

そのLINEを見る度に胸が痛んだ。

ユウキと知り合ってから、もう１０年以上になる。

大学入学当初から親しくしてきて、その後恋人となり、５年もの間付き合ってきた。

別れて数年経った今でも、ユウキのことは手に取るようにわかるつもり。きっとユウキも同じだと思う。

本当はユウキの気持ちだってどこかでわかっていたはずなのに、気付かないフリをして目を逸らした。

そして、もうユウキを傷付けるようなことはしたくなくて、彼の方から距離を取るのを待った。

そんな私の反応に、ユウキもきっと何かを察したのだと思う。

送られてくるLINEの頻度は少しずつ減っていき、遂に途絶えた。

これが正解だったとは思わない。

“傷付けたくない”なんて言いながら、結局自分が悪者になりたくないだけ。

私は本当に自分勝手で狡い。