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当日。
いつもと同じように空港まで迎えに行く。
久しぶりに見たそうちゃんの弾けるような笑顔にきゅんとさせられ、彼の胸へ飛び込む勢いで駆け寄った。
本当は抱きつきたいところだけど、そこはふたりとも一応分別のあるアラサー。流石にそれはやめておいた。
「アヤちゃん久しぶり!」
「おかえりなさい、そうちゃん!」
最近のイライラは何処へやら。
久しぶりの再会が嬉しくて仕方がない。
「ねえ、大変な時なのに本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。ごめんね、任せっぱなしで」
「私こそワガママ言ってごめん……」
「なんで?アヤちゃんは別に何も言ってないじゃん。オレが式場を見てみたいと思ったから帰って来ただけだよ」
そうちゃんが一緒に考えてくれて嬉しいけれど、こうして無理をさせてしまったと自己嫌悪。
結局私のワガママのせいで、今一番大切な時期の彼を振り回してしまっている。
不満をひとりでは消化できない自分にウンザリした。
見てみたい式場のウェディングフェアーが翌日にバッティングしてしまい、この日は1日フリー。
ちょっと足を伸ばして横浜まで出かけた。
ふたりで横浜に行くのは初めて。
初めての場所で久しぶりのデートに、テンションは上がりっぱなしだった。
そしてそうちゃんはずっと笑顔。そして相変わらず優しい。
そんな彼の隣はやっぱり心地よい。
私は本当に彼が大好きなんだと思う。
何をあんなにイライラしていたんだろう。
会って顔を見れば何でも許せてしまう。
私自身が「任せて」と言ったのだから、私が頑張らなきゃ。
私は気持ちを新たにした。
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