不満

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それから少し経ったある休日。 学生時代の親友エリカ夫婦に赤ちゃんが産まれ、里帰り出産から戻って来たと聞いて、早速ユカと一緒に赤ちゃんに会いに行った。 旦那さんは、あの野球部のキャプテンだった藤崎くん。 学生時代、エリカに一目惚れした藤崎くんに紹介してくれとせがまれ、ユウキと私が引き合わせた。 招待されたふたりの結婚式でユウキと再会することになったのは(※彩日記〜アヤの恋愛備忘録〜『再会』の章参照)、そんな経緯があったからだった。 エリカに抱かれて目の前に現れたのは、美人なママに似てとてもかわいい赤ちゃん。 「抱いてみる?」と聞かれ、怖くて一度は断ったけれど、隣で姪っ子で慣れているというユカが抱くのを見て羨ましくなり、私も抱かせてもらうことにした。 エリカから私の腕の中にそっと赤ちゃんが入れられた。 ちっちゃくてちょっと力を入れたら壊れてしまいそう…… でも、かわいいーーー!! 天使だ〜! 澄んだ瞳で見つめられると、自然と頬が緩んでしまう。 小さな小さな天使は、抱いているだけで幸せな気分にさせてくれる。 私も早く赤ちゃんが欲しいな。 そうちゃんならきっと良いパパになるはず。 優しい顔で赤ちゃんを抱き、慣れない手つきでオムツを替えたり、公園でボール遊びをしたり、全力で子どもと接する彼の姿が簡単に目に浮かぶ。 赤ちゃんを抱きながら、そんな幸せな未来を想像した。 完成したばかりだというおしゃれな新居に待望の赤ちゃん。 藤崎くんはエリカにも赤ちゃんにもメロメロ。 エリカもいろいろとグチを言っているけど、なんだかんだ言って幸せそう。 幸せを絵に描いたような藤崎家。 もうすぐ私にもこんな幸せが来るんだと胸が膨らんだ。 「ありがとう。見てるだけで癒されるね〜」 少し抱かせてもらって大満足な私は、抱っこを藤崎くんにバトンタッチ。 「アヤだってもうすぐじゃん」 ユカは意味有りげにニヤっとしながら私を見る。 そう。 藤崎家に向かう途中にそうちゃんとのことを聞かれ、結婚すると報告したばかりだった。
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