989人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
それから少し経ったある休日。
学生時代の親友エリカ夫婦に赤ちゃんが産まれ、里帰り出産から戻って来たと聞いて、早速ユカと一緒に赤ちゃんに会いに行った。
旦那さんは、あの野球部のキャプテンだった藤崎くん。
学生時代、エリカに一目惚れした藤崎くんに紹介してくれとせがまれ、ユウキと私が引き合わせた。
招待されたふたりの結婚式でユウキと再会することになったのは(※彩日記〜アヤの恋愛備忘録〜『再会』の章参照)、そんな経緯があったからだった。
エリカに抱かれて目の前に現れたのは、美人なママに似てとてもかわいい赤ちゃん。
「抱いてみる?」と聞かれ、怖くて一度は断ったけれど、隣で姪っ子で慣れているというユカが抱くのを見て羨ましくなり、私も抱かせてもらうことにした。
エリカから私の腕の中にそっと赤ちゃんが入れられた。
ちっちゃくてちょっと力を入れたら壊れてしまいそう……
でも、かわいいーーー!!
天使だ〜!
澄んだ瞳で見つめられると、自然と頬が緩んでしまう。
小さな小さな天使は、抱いているだけで幸せな気分にさせてくれる。
私も早く赤ちゃんが欲しいな。
そうちゃんならきっと良いパパになるはず。
優しい顔で赤ちゃんを抱き、慣れない手つきでオムツを替えたり、公園でボール遊びをしたり、全力で子どもと接する彼の姿が簡単に目に浮かぶ。
赤ちゃんを抱きながら、そんな幸せな未来を想像した。
完成したばかりだというおしゃれな新居に待望の赤ちゃん。
藤崎くんはエリカにも赤ちゃんにもメロメロ。
エリカもいろいろとグチを言っているけど、なんだかんだ言って幸せそう。
幸せを絵に描いたような藤崎家。
もうすぐ私にもこんな幸せが来るんだと胸が膨らんだ。
「ありがとう。見てるだけで癒されるね〜」
少し抱かせてもらって大満足な私は、抱っこを藤崎くんにバトンタッチ。
「アヤだってもうすぐじゃん」
ユカは意味有りげにニヤっとしながら私を見る。
そう。
藤崎家に向かう途中にそうちゃんとのことを聞かれ、結婚すると報告したばかりだった。
最初のコメントを投稿しよう!