彼の嘘と本心

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その飲み会を一次会で切り上げ、家路を急いだ。 それはもちろんそうちゃんに真実を問うため。 家に着くなり自室にこもり、早速そうちゃんのスマホを鳴らした。 きっとスマホでゲームでもしていたのだろう。すぐに電話に出た。 「今日は早いねー。何かあった?」 機嫌良く話す彼。 毎晩、就寝前の落ち着いた時間にしている電話。 確かにいつもよりも早いけれど、そんな呑気な彼の口ぶりが既に怒りで頭に血が上っている私に火を付ける。 「『何かあった?』じゃないよ! 今日三浦くん達と飲んだの。ねえ、どういうこと?」 「どういうことって……何が?」 先ほどのご機嫌なトーンから、一気にボソボソと低く小さな声に変わる。 本人はしらばっくれるつもりだろうけど、その声の調子から動揺が伝わってくる。 「わかってるでしょ?研修、一旦終わってるんだってね」 「うん、まあ……」 「ウソついてたの?」 「ごめん……」 「どうして言ってくれなかったの?」 「ごめん……」 そうちゃんは謝るばかりで何も答えない。 「ひどいよ!そうちゃんのことずっと心配してたのに!私、我慢してたのに!寂しかったのに!」 「結婚式の事だって全然相談に乗ってくれなかったよね?私、そうちゃんは忙しくて大変なんだと思ってひとりで頑張ってたんだよ!」 「もうそっちへ行きたいって言っても、余裕がないって拒否したよね!」 私が何を言っても返事すらない。 「ねえ、黙ってないでちゃんと答えてよ!」 だんまりを決め込む彼にますます怒り心頭になり、きつい口調で責め立てた。 「そんなにフットサルが楽しい?ひとりが楽しい?結婚したくなくなった?」 「何バカな事言ってるんだよ!そんなことあるわけないだろ!」 そうちゃんはようやく反応した。 ただ大きな声で言われたものだから、私もさらにヒートアップする。 「そうに決まってる!だから私にもっと仕事続けるように言ったんでしょ?そりゃあそうだよね。ひとりの方が楽しいもんね!」 「何でそうなるんだよ!人の気持ちも知らないくせに!」 「うん、わかんないよ!じゃあ黙ってないで何か言いなよ!何が気に入らないの?!」 「そんなこと言えるかよ!!」 しばらく私のヒステリーに耐えていた彼は、まるでマグマが爆発するかのように、ついに声を荒らげた。 温和なそうちゃんのいつもと違う荒々しい様子。 今、ふたりの間にはそれくらい大変な事が起こっている。
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