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そうちゃんは意外と頑固なところがある。
しばらく私を呼び寄せないと決めている彼の気持ちを、どのタイミングでどう言えば変えられるのか迷うところ。
そうは言ってもこの連休を楽しく、そしてラブラブに過ごして帰る前日あたりの寂しさのピークに合わせて言ってみたら、案外上手く行くんじゃないかと楽観的に考えていた。
その夜、会えなかった一か月を埋めるように、深く、貪欲に愛し合った。
元々性欲強めなそうちゃんではあるけれど、その日はいつにも増して激しく何度も私を求める。
私もいつも以上に積極的に彼を求め、それが更に彼を興奮させた。
数え切れない“好きだよ” はもちろん、
“綺麗な身体だよ”
“気持ち良過ぎ”
“この身体、もう最高” ………
などと褒めまくり、思い出すのも恥ずかしいくらいのいやらしい言葉を囁く。
そんな言葉だけでも絶頂に達しそうになるくらい、私は乱れまくった。
いつもの私はここまでいやらしくないはず。
きっとこの会えなかった一か月が、私をここまで淫らにしたのだろう。
そしてそうちゃんからの愛情をしっかりと受け取り心身ともに満たされた私は、ピロートークしながらいつの間にか眠ってしまった。
どのくらい寝てしまったのだろう…
ふと目が覚めると、隣にいるはずのそうちゃんの姿がなかった。
トイレかな…と思ったけど帰ってこない。
だんだんと目が冴えてくると、部屋の奥の方が明るい事に気づいた。
それはどうやらキッチンの灯り。
何してるんだろう……
そっと覗いてみると、その灯りの下でそうちゃんが真剣な表情で何かを見ていた。
手にはさっきまでテーブルに積んであった本。資料もそばに置いてある。
勉強してる……?
そうちゃん、さっきはあんなことを言っていたけど、本当はこんな時にも勉強しなきゃならないほど余裕がないんだ……
私がいると集中できないのかもしれない。
そう思ったら “そばにいたい” とは言えなくなってしまった。
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