遠距離の始まり

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翌日は近くの有名観光地へ出かけた。 こうやってふたりで過ごす時間はとても楽しいけれど、昨夜の光景が頭から離れず、私とこんなことをしていていいのかと気がかりだった。 家に戻ってからも気になってしまい、ついつい彼を観察してしまう。 そんな私の気持ちなんて気づく筈もなく、そうちゃんは私にべったりくっついてちょっかいを出してくるけれど、私は彼の勉強が心配で、とてもイチャイチャする気持ちにはなれなかった。 そうちゃんは「アヤちゃん、全然相手してくれないねー。つまんなーい」と、拗ねたフリをしながら懲りもせずにまとわりついてくる。 私はその言葉に我に返り、「いっぱい歩いたから疲れてぼーっとしちゃった。ごめんね」と笑ってごまかした。 もういっその事、昨夜勉強をしていたことに気づいたことと私に構わず勉強してと言ってしまおうかとも思ったけれど、もしかしたら私に知られたくないのかもしれないと思ったら、それを言い出すのもためらわれた。 もちろん、そうちゃんからは話してくれないと思う。 どうしたらいいのか悩む。 とりあえず軽く話を振って、様子を見ることにした。 「ところでそうちゃんって具体的にはどんな勉強をしてるの?」 「一言では言えないなあ。そうだなー、例えば○○○が***で、それが□□□でー……」 うーん、多分簡単に説明してくれてるんだろうけど、頭の中は “?” だらけ。 とにかく難しい話だってことだけはわかる。 「なんかよくわかんないけど難しい話だね。ねー、このテキスト見てみてもいい?」 「いいけど面白くも何ともないよ」 苦笑いのそうちゃんを尻目に、テキストの一冊を手に取った。 パラパラとめくってみたものの、内容はもちろんちんぷんかんぷん。 ただ、一生懸命勉強しているのが、たくさんの書き込みから伝わってくる。 「これ、全部覚えるんでしょ?本当に勉強しなくていいの?」 「大丈夫だって!オレの力を信用できないの?」 わざとらしく自信満々に言ってみせる彼。 そうかと思えば次の瞬間、「信じてくれないのー?」「オレ頑張ってるよー」と、今度は甘えんぼモードで纏わり付いてくる。 「信じてるけどさー。でもちょっとくらい勉強しないとマズいんじゃないの?」 「だから心配するなって!本当に大丈夫だから。 そんなことより結婚式の事、よく話し合おうよ」 早く!早く!と、式場の資料を出すよう催促してきた。
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