遠距離の始まり

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なんだか上手く話を変えられてしまったような気がする。 仕方なく、荷物の中からいくつかの式場のパンフレット等を出して彼に渡した。 それは私が情報誌やネットで下調べしていくつかピックアップし、ひとりで見学に行った式場でいただいたもの。 「アヤちゃんはどこが良かった?」 そうちゃんはそれらをテーブルに並べ、表紙を見比べながら私に尋ねる。 私はスマホを開き、見学の際に撮影した写真も一緒に見せながら、 「ここの式場はね、チャペルがこんな感じですごく開放的で明るいの!で、こっちは想像してたよりも派手過ぎっていうか……でもスタッフの人がすっごく感じがいいの!それからここは……」 ひとつひとつ、そうちゃんにプレゼンするかのように感想を伝えた。 結論としては、どの式場も素敵なんだけど決め手に欠ける。 「そうかー。話を聞くだけじゃオレも決められないな。やっぱふたりで見に行った方が良さそうだなー」 「でもそうちゃん、忙しいでしょ?勉強だってあるんだし……」 「忙しいっていうよりはちょっと遠いからね。まあ毎週は厳しいけど、そのブライダルフェアっていうの?それに合わせて帰れば良い訳でしょ?ふたりで見に行って、ぱっと決めた方が早いじゃん」 そうちゃんはパンフレットをパラパラとめくりながら、さらっと言う。 ぱっと? そんな簡単に決めることなの? そうちゃんの一言が引っかかり、ムカっとさせられる。 そして、何だか彼が式を軽く考えているような気がしてきて悲しくなった。 ※長い間更新できず、申し訳ありませんでした。 また少しずつ始めたいと思います。 どうぞよろしくお願いします。 アヤ
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