揺れる想い

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ただ、昔のようにあからさまに避けたりはしない。 普通に話し、冗談も言い、時には仕事モードで真面目な会話。 表面上はこれまでと変わらず、後輩のひとりとして接していた。 田中さんと進めているこの仕事も終わりが見えてきていた。 これが終われば日々の挨拶程度になり、頻繁に接することもなくなる。 そうなればきっと私の気持ちもクールダウンするはず。 仕事も大詰めを迎え個別行動が多くなり、たまに一緒に外出しても早い時間だったりで、外出先からそのまま食事へ……という流れはなくなっていた。 助かった…… とにかく仕事以外でふたりっきりになるのを避けようとしていた。 それなのに、私のそんな気持ちに反比例して、田中さん言動はますます私の心を揺さぶり始めた。
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