遠距離の始まり

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遠距離の始まり

朝起きてすぐ、そうちゃんに“おはよう♡” とLINE。 そうちゃんは転勤先で引っ越しの荷物を運び入れた後に研修先に向かい、今日、研修初日を迎える。 臨時の住まいと研修所は目と鼻の先だという。 きっとまだ寝ているんだろうな。既読にならない。 寝ぼけ眼でダイニングに向かうと温かい朝食が用意されていた。 朝に弱い私。 今まではギリギリまで寝ていたため、フルグラやトースト、それにヨーグルトや果物を合わせた程度の簡単なものばかりだった。 あっ、そうちゃんの家へお泊りの日だけは別。 朝から張り切って作って毎回感謝され、胃袋は掴んできたつもり。 まあ普段サボっていたのは、何でもお見通しな彼にバレていたけれど。 初日だから社員食堂事情がわからず、母にお弁当まで作ってもらう。 私はただ自分の身支度を整えて出かけるだけ。 こんなに楽な出勤前の朝は何年ぶりだろう。 それに洗濯だってしてもらえるし、夕食も考えなくていい。 実家生活ってこんなにラクだったんだ…… まだはっきりと期間は決まっていないけど、家を出るまでの間、両親(特に母)に甘えさせてもらうことにした。 そしていよいよ転勤先である本社へ初出勤。 久しぶりに満員電車に揺られ、都心にある勤務先に向かった。
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