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不満
毎晩日課になっているそうちゃんとの電話。
電話の向こうの声は明るい。
ただ、私には決して言わないけれど、目の前のことで精一杯なのは想像できた。
そんな状況の中でそうちゃんと話し合う時間が充分に取れず、式場がなかなか決まらない。
本当は「いい加減決めようよ!」 と言いたいけれどそれは言えず、そうかといってひとりでは決められない。
今からでは最初に話していた年内に挙式は厳しい。私はもう諦めつつあった。
彼が当てにならないので、母に相談すると(父も当てにならず…)
「そういうことはソウタくんやソウタくんのご両親に相談しなさい」
と言われ、
そうちゃんの両親は
「大事なお嬢さんにお嫁さんになってもらうのだから、アヤちゃんのご両親のご意向が一番よ」
と言う。
そして、当のそうちゃんは
「アヤちゃんが主役なんだから、アヤちゃんが気に入ったところでいいよ」
と、私に決定権を与える。
そうちゃんは今、一番大事な時。
私が頑張らなきゃいけない。
理解しなきゃいけない。
頭ではわかっている。
でも、“私ひとりでは決められないから相談してるのに、少しくらい一緒に考えてくれたって……” と、そうちゃんに対する不満が少しずつ溜まっていった。
彼の状況は理解しているつもり。
ただ私も式場を早く決めなきゃと焦るばかりで、余裕がなかったのだと思う。
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