彼の悩み 〜ソウタ目線〜

8/8
636人が本棚に入れています
本棚に追加
/34
今の俺にできるのは電話とLINE、そしてたまに会いに行く事くらいだった。 “今日はどうだった?” “体調は大丈夫?” “困ったことはない?” “何でも聞くよ?” 少しでも我慢させないよう、意識的に聞くようにした。 そしてこれ以上彼女の負担にならないよう、せめて俺から会いに行こうと心掛けてきた。 研修はキツいながらも順調に進んでいた。 この数ヶ月の手ごたえを感じているし、俺はこの先会社の期待に応えられるよう頑張るだけ。 アヤちゃんは仕事を続けたいと思っているかもしれないけど、きっと何も言わずに俺との生活を選んでくれると思う。 もうこれ以上寂しい思いはさせたくない。 そして何より俺自身が離れ離れなのは辛い。 研修期間が予定より短いと隠していた事はしっかり謝って、正直に理由を言おう。 最初は怒るかもしれないけど、きっとわかってくれると思う。 もう少しである程度見通しが立つ。 今度行われる昇進試験とも言える重要な試験が終わったら、隠していた事を謝って、そろそろこちらに来て欲しいと言おう。 ………………………………………… ところが、ちょうどその少し前からアヤちゃんの様子が変わってきた。 どうも仕事が楽しくなってきたらしく、 「ついにねー、〇〇を一人でやる事になったの!」 「今度の取引先は今までみたいに “女の子” 扱いしなくて、担当者の一人として接してくれるの!」 なんてワクワクしたり、 「△△の話が全然進まなくてちょっと困ってるの。私は●●って方向でいこうかと思ってるんだけど、そうちゃんならどうする?」 「今日は先方にダメ出しされたー。それで課長に報告したら “納得してもらうにはどうしたらいいと思う?” って、逆に課題もらっちゃってさー。でも課長もそうやって育ててくれてるんだよね!」 なんて悩んだりグチったりしてるけど、気持ちは前向きだったり、 「今日□□の仕事が終わったんだけど、あの気難しい担当者が最後にありがとうってお礼言ってくれたの!無理難題ばっかりで大変だったけど、喜んでもらうとやっぱりやり甲斐感じるよね」 なんて大喜びしたり、 毎日仕事の話で盛りだくさんだった。 アヤちゃん、なんだかんだ言ってもいつも機嫌がいいし充実してるんだろうな。 本当なら一緒に喜んだり楽しさを分かち合えるはずなのに、俺の気持ちは曇る一方だった。
/34

最初のコメントを投稿しよう!