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友香のことだから、待ち合わせなんてしたら1時間くらい前から待っていてもおかしくない。
それに、友香の母さんは友香そっくりで、いつもキャッキャと言いながら送り出してくれるのは……まぁ悪くない。
それも、信頼関係かと思えばいいかなと思っているわけだ。
―――って、友香の母さんと信頼関係結ぶ必要あるのか?
と思った時にはもう遅い。
友香と友香の母さんと俺のグループラインは、未だ健在である。
「夕方には戻ります」
「あらそう? いつもありがとね、尚人君。疲れてない?」
「いえ、こいつ……友香といると、面白いので」
「先輩っ、面白いってどういうことですか!?」
そんなやりとりを、友香の母さんがふふふと笑って見ている。
そんな時、ちょっと苦くて恥ずかしさがあるけれど、どうも強敵のこの人の前では俺は素直になってしまう。
それも存外悪くないと思いつつある自分が、ちょっと怖い。
「行くぞ」
手を差し出すと、友香は嬉しそうな顔をして、パッと握り返すようになった。
最初はいいのかな、どうしよう、って気持ちがありありと浮かんでいたけれど、最近は迷いがなくなったようで、すぐに掴んでくれるようになった。
―――でも。これで、いいのか?
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