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私は人混みから少し離れると、そっと座り込んだ。
とにかく足が痛くて、一刻も早く下駄を脱いでしまいたかった。
剥けた皮がヒリヒリとして、こんな状態じゃまともに歩けない。
「っ…」
途端に心細くなって、じわりと瞳に涙が滲んだ。
どうして今、自分がこんなところに一人でいるのか――それを考えると、どうしようもなく寂しくて仕方なかった。
デートなのに。
なんで彼は隣にいなくて、私は一人で泣いてるんだろう。
彼にとっては、今年もいつもと変わらない花火大会だったのかな。
そう思うと無性に悲しくて、浮かれていた自分がバカみたいに思えた。
「……お洒落、したのに」
いつもよりも時間を掛けて、彼に見てほしくて、『可愛い』って言ってほしかったから。
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