いやらしい笑み

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直近の上司の接し方が、日に日に酷くなり、最近は度を超えていた。 同僚らといるときはクズだブスだと暴言を吐き、 終業後などふたりきりになると、ねちっこく甘ったるい声で体を触ろうとしてくる。 まさにパワハラ&セクハラ上司である。 スルースキルには自信があった私だったが、上司のしつこさはそのスキルでは対抗できない度合いであった。 セクハラにもっていくため、ふたりきりで居残るように仕事を割り当てるのだ。 ある夜、会社で残業していると、 「肩こってない?」 とか言って強引に下手なマッサージにもっていきつつ、胸まで揉んできた。揉み上げるようにして、体を密着させながら。 私は慌てて、仕事をほっぽり出したままその場を退出した。 同僚らは好きだし、仕事にもやりがいを感じている。 嫌なのは、あの上司だけだ。あんなやつのせいで通勤が憂鬱になるなんて悲しいし、悔しい。 あんな男だから、私が上層部に訴えたところで必死に否定するだろう。 そしてお得意の「会社が嫌なら辞めろ」というセリフを吐くに違いない。 それを言われ実際に辞めていった同僚もいた。 私はそうは、なりたくない。 あいつ一人のせいで会社を辞めるなんてことになれば、なおさらに悔しいではないか。
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