誰かに見られてる

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僕とカップル以外にも何人かが電車から降りた。まだ安心は出来ない。どさくさに紛れて、あのブラウスの女も降りているかもしれない。背後を警戒しながら、カップルの直ぐ後についていく形になった。 「気配、まだするの?」男が言う。 「うん、うん、まだする。全然消えない。多分、一緒に電車から降りてるよ」 「君のその、なんていうの、霊感っていうの、凄いね」 「そんな事言われても嬉しくない。めっちゃ怖いんだから!」 霊感。確かに霊感と男は言った。つまり、女の子は霊感が強く、霊の存在を感じるという事か。気配がするとさっきから口にしていたのは、そういう事だったのか。と、すると、あの白いブラウスの女は・・・。 「待ちなさい」 突然声をかけられ、思考が中断された。女の子もそれが聞こえたらしく、僕と女の子は同時に歩くのを止めた。まさか。女の子は言っていた。一緒に電車から降りている、と。ゆっくり、ゆっくりと振り向いてみる。白いブラウスの女が立っていた。険しい目を僕に向けている。いや、女の子に向けているのか。どちらとも取れた。 「だ、誰だ、あんたは・・・」 ブラウスの女はそれに答えず、近寄ってきた。このままでは女の子が危ない。僕はブラウスの女に立ちはだかる形で、女の子に向かって叫んだ。 「逃げろ!逃げるんだ!早く!!」 女の子はあまりの恐ろしさのせいか、その場を動かない。「ね、ねえ、なんかやばそうだ、逃げようよ」と男に腕を引っ張られても彼女は動かなかった。このままではまずい。僕は女の子を無理矢理移動させようと彼女の方に近づいた。が、ブラウスの女がそっと僕と女の子の間に立った。
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