誰かに見られてる

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「そこで止まりなさい。妙な動きはしないで」とブラウスの女が僕に言った。 「な、なんだ、あんたは?何が狙い・・・」 ブラウスの女がそっと僕に触れた。急に身体全体が金縛りにでもあったかの様に動かなくなった。 「な!なにをする!!!!」 「下手に抵抗すると結構痛いわよ」 ブラウスの女の手元をよく見ると、奇妙な文字の御札があった。彼女は僕の身体にその御札を一枚貼り付けたのだ。何故こんな事をする?彼女は一体何者なのだろうか。 「や、やめてくれ。僕が何をしたって言うんだ。あんたは一体何なんだ」 「ごまかさないで。あの女の子をずっと前から狙っていたんでしょう。取り付いて家までついていこうとしたみたいだけど、残念だったわね」 このブラウスの女。そういう商売をしている、という事か。ようやく察した。僕がずっと前からあのカップルの、いや、女の子を狙っていたのをどこからか情報を得て見張っていた、という事か。女の子を見つけたのは半年前。不思議なエネルギーが出ているのは直ぐに分かった。そして、僕と女の子は間違いなく相性が合うと確信した。今日が女の子の全てを知る好機だと思ったのに。余計な邪魔が入った。しかし、まだ甘い。妙な御札のエネルギーは一枚では動きを止めるのが精一杯らしい。まだ僕のパワーの方が上だ。 「動かないで!そのままじっとしてなさい!」 僕の動作に気づいたのだろう。ブラウスの女は構えた。だがもう遅い。僕はブラウスの女の頭上を飛び越えた。そして、女の子に覆い被さった。
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