誰かに見られてる

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少し予定が狂ったが、今この女の子に取り憑くのがベストだろう。彼女の中に潜めば、男は勿論のこと、ブラウスの女もなかなか手が出せまい。ブラウスの女が何やら叫んでいるが、構わず女の子の体内に入ろうとした。 が、電流が身体に走り、弾き飛ばされた。 一瞬、何が起こったのか分からなかった。女の子の手元には、ブラウスの女が手にしていたのと同じ御札があった。弾かれたのは、これが理由か。けれど、腑に落ちない。ブラウスの女はいつ女の子に御札を貼り付けたのか。電車の中でも外でも、ブラウスの女が女の子に御札を貼る機会は無かった筈。しかし、直ぐにその疑問は氷解した。ブラウスの女がこの場に居合わせたのは偶然ではなかったのだ。正確には分からないが、電車に乗る前にブラウスの女が女の子に御札を手渡していた、という事だろう。つまり、ブラウスの女は女の子に依頼を受けて電車に乗っていたのだ。 「観念して成仏しなさい、このロリコン野郎!」 背後にブラウスの女が迫っていた。どうするどうするどうするどうする。女の子は御札を持っている。しかし、男はどうだろう。見た限り、あまり御札の効能を信じるタイプではなさそうだ。不本意ではあるがこの窮地を逃れるには、男に取り憑く以外に道は無さそうだ。さっと動いた。有り難い事に予想は的中。僕は男の身体にすっと入り込めた。
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