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伊丹の過去を知ってなお、伊丹に対する大河の気持ちは止まらなかった。
抱かれたくても抱いてもらえない。
大河は貰った休みにとあるバーに出かけた。
鋭い目をした美形の男と目が合いそのままホテルに向かう。
目付きの雰囲気が伊丹に似ていた。
大河は、初めて会った男に抱かれながら伊丹を思っていた。
目を瞑り男にされる事を、脳内では伊丹にされていると想像した。
男のモノが久しぶりに中に入ってくると、痛みと快感が大河を一気に襲う。
男が動く度に、大河の中は熱を帯び擦られ蕩けていく。
大河は、甘い喘ぎ声を出しながら男をさらに興奮させる。
悠介さん!
もっと激しくして。
奥まで、もっと!
俺を壊して。
悠介さんのモノで、俺を壊して!
心の中で叫びながら、大河は喘ぎ快楽に酔いしれる。
久しぶりに男に抱かれ、大河の身体は悦びに震えた。
「ああッ!いいッ!もっと激しくして!もっと!」
大河は声を我慢する事なく、男に攻められながら何度も喘ぎイく。
バックの体勢から正常位になると、男は大河にキスをしながら攻め続ける。
キスをする度に、伊丹の唇が浮かぶ。
思い浮かぶ伊丹の目が大河を興奮させる。
悠介さん。
イくッ!
イっちゃう!
悠介さんも俺の中に出して。
いっぱい出してください。
男が大河を抱きしめ中で果てた。ドクンドクンと大河の中で男のモノがゴム越しに脈打ち、大河は伊丹を思い浮かべ恍惚の表情をする。
事が済むと、大河は身体の満足感とは別に、伊丹への思いで心も満たされた。
「あんた、好きな男がいるんだろ?」
相手をした男が大河に尋ねる。
「……ああ」
大河はそう答えると目を瞑った。まだ想像の中の伊丹との余韻に浸っていたい。
「俺に抱かれながら、そいつとセックスしてるって想像してたんだろ?」
男はそう言うと起き上がった。
「また、身代わりになってやってもいいぜ。あんたの身体、良かったしな」
男はシャワーを浴びに行った。大河はその後ろ姿を黙って見つめた。
それから大河は、その男と度々会うようになった。
男の身体を伊丹と思い、貪欲なまでに男のモノを貪る。
身体しか満たされなくても、伊丹を想像するだけで十分だった。
だが決して伊丹に知られてはいけない。
自分が望んで男に抱かれる事を伊丹に知られたくなかった。
休みの度に出かける大河に対して、伊丹は女ができたとしか思っていなかった。
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