桜の下で

5/6
前へ
/32ページ
次へ
伊丹の身代わりの男とはまだ続いていた。 なにもかも忘れたくて大河は男に身を委ねた。 伊丹に対する愛情と、ジュリを愛おしく思う気持ち。 そんな感情を全て吐き出してしまいたかった。 「熱い。中の熱が、半端ない」 バックで攻める男が大河の中の熱に蕩けていた。 「どうしてお前の身体は、いつもこんなに熱いんだよ。気持ちいいよ」 男は腰を艶めかしく動かし、大河の中でさらに蕩けていた。 「俺も、気持ちいい。もっと激しく攻めて」 甘えるように大河はねだる。 「なにもかも、忘れるくらい、狂うぐらい攻めて」 大河は男のモノをギュッと締め付けながら自らも腰を動かす。 男は気持ちよくて、大河の望み通り激しく腰を振りだした。 「ああッ!そこッ!もっと、ああッ!」 大河が枕を抱きしめ男の動きに悶える。 「イくッ!」 大河の中が激しく痙攣する。締め付けが激しくなり男も興奮が止まらない。 「あッ!んんッ!」 大河が喘ぎ、男は大河のモノを扱く。 「そんなに、されたら、出ちゃうッ!」 「出せよ。ほら、ぶちまけろよ」 男に耳元で囁かれ、大河はビクンビクンと身体を震わせる。 「出ちゃうッ!出ちゃうよ!」 大河は背中を仰け反らせて白濁した体液を放った。 「ああッ!いい」 一気に締まる中に、男は声を出し必死で腰を動かす。熱くて締まりが強くて、もう男も我慢が出来なかった。 「!!」 ビクッビクッと大河の中で脈打ちながら男は果てた。大河もその振動に酔いしれる。 力が抜けて大河は身体をベッドに落とした。 自分が放った体液が腹のあたりで濡れていて冷たい。火照った身体の熱が一気に吸い取られるようだった。 「久しぶりのせいか、凄く興奮していたな。好きな男への欲求不満が爆発したか?」 男が大河の背中にキスをしながら尋ねる。 「そうだね。何年たっても関係は変わらない。俺はあの人にとって、ただの部下だからね」 男の舌が尻まで下がってきた。大河の脚を開き、さっきまで激しく突いていた場所を指で広げると舌を入れる。 「あんッ!んんッ!」 大河の甘い喘ぎ声を聴きながら、男は舌で舐め続ける。 「なあ、あんた、好きな人、いる?」 悶えながら大河が聞くと、男は舐めるのを止める。 「ああ。もうずっと片思いだけどな」 「俺と一緒か」 大河はそう言って、自分の指先で唇に触れる。 「一緒じゃねーよ。俺が好きなのはお前だ」 男はそう言うと、また舐め始める。 「ああッ!あッ!」 男のしつこい舌に大河はよがりまくる。 「気持ち、いいよぉ」 大河の鼻にかかった声が、男には堪らなくセクシーに聞こえる。 大河は唇に触れていた指をしゃぶり始めた。 男は舐めるのを止めると大河を見る。 「好きだ。俺を好きになれよ」 男の告白に大河は指をしゃぶるのを止めた。 「……ごめん。無理。俺が愛しているのはあの人だけだから」 頬を紅潮させて大河は言う。男はフッと笑う。 「分かってたさ。でも、俺ももう辛いさ。始めて会った時から、お前を好きになってた。身代わりでも良いって思ってた。でも、もう無理だ。あの時よりも、もっとお前を好きになって、もう身代わりにされたくない」 泣きそうな顔で男は告白する。 「ごめん。俺が悪かった」 大河が謝ると男は首を振る。  「帰るよ」 男は身支度を整えるためにシャワーを浴びに行った。大河は乱れたベッドを撫でる。 目を瞑って、伊丹を思い浮かべると涙が出てきた。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

296人が本棚に入れています
本棚に追加