異国から愛を込めて

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ダニエルはそれからも大河をちょくちょく誘ってくれたが、そう頻繁にお邪魔するのも気が引けたが、それでも月に2、3度は家に遊びに行った。 それから3ヶ月経った頃、ダニエルの部屋に行くとヒューの同僚も来ていた。 「こちらは俺の友人のロイ。同じ会社の人間だよ」 ロイはにっこり笑うと大河と握手をした。 ダニエルは買ってきたデリをキッチンで温め直していて、大河はヒューとロイと同じ空間に、じっとしているのが辛くなりダニエルの手伝いをする。 「ロイは気をつけて。嫉妬深いから」 ダニエルがそっと大河に耳打ちする。 「嫉妬?」 大河はヒューとロイを見る。 「ヒューはどう思ってるか分からないけど、ロイはヒューが好きなんだ。ヒューが大河の話をしちゃったもんで、今夜押しかけて来たってわけさ」 ダニエルはちょっとイヤそうに言った。 「ゲイに偏見はないよ。ただ、ロイはあからさまで。ヒューも分かっててなんでって思うよ。僕に言わないだけで、実は付き合ってるなら文句もないけどね」 ダニエルの説明で2人の関係はなんとなく分かった。 だが関係性が分かったら大河は胸が苦しくなった。 伊丹に似た男が、他の男とそう言う関係にあるのかと思うと辛かった。 全く別人なのに、なぜか伊丹と重ねて大河は1人辛くなる。 酒の席で4人はそれなりに楽しんだ。 「タイガ、泊まっていくだろう?僕の部屋にマットをもう用意してるから」 ダニエルが、もういつものパターンで大河の寝る場所も作ってくれている。 「毎回、泊まってるの?」 ロイが大河に尋ねる。 「あ、うん。甘えさせてもらってる」 大河が言うと、ロイはヒューを見る。 「僕もヒューの部屋に泊まっていく。良いでしょ?」 ロイの言葉に、大河はズキッとした。 「ああ。ただマットが無いから、俺のベッドに寝ると良い。俺はソファで寝るよ」 「ヒューのベッド狭いの?別に僕は一緒のベッドで良いけど」 ダニエルはヤレヤレと言う顔で呆れている。 「狭いよ。俺はこっちで寝るから」 ヒューはそう言うとチラッと大河を見た。目が合って大河はドキリとした。 ヒューがロイと、一緒に寝ない事に安心した顔を見られて恥ずかしかった。 「タイガかロイのどちらか先にシャワー浴びなよ。俺はもう浴びたから」 ダニエルが言う。 ダニエルとヒューが、キッチンで洗い物をしていたので、大河はロイを見た。 「ロイ。先にどうぞ。俺は後でで良いから」 大河が言うとロイは立ち上がった。 「じゃあ、お先に」 ロイがリビングから消えるとダニエルはフーと息を吐いた。 「ヒュー。ロイとはどう言う関係?付き合ってるなら僕もそのつもりでロイと付き合うけど、ヒューはロイと恋人同士な訳?」 よほど今夜ロイが来たのが気に食わなかったのか、ダニエルはヒューに詰め寄る。 「ばぁか。付き合っている訳ないだろ。ロイは確かに少し図々しいけど、大事な仕事仲間なんだ。それでも気に入らないなら、もう家に呼ばないから」 食器を拭き終えると、ヒューは不機嫌そうにソファに座る。 「ごめん。俺も図々しかったね。誘われるまま、しょっちゅう泊まって」 大河が言うとヒューは大河を見る。 「違うよ!タイガの事を言ってる訳じゃない!」 慌ててダニエルが言う。 ヒューの仕事仲間には文句を言って、大河は別だとヒューに言っているようなものだとダニエルは少し反省した。 「タイガ。俺はタイガを歓迎してるよ。ダニエルの大事な仕事仲間で友達で、俺も一緒にいて楽しいし」 ヒューが優しく微笑んでくれて大河はホッとした。 「ヒュー、ごめん」 ダニエルが謝るとヒューはダニエルにも微笑んだ。 「お前が気にしてる気持ちもよく分かるよ。だけど、俺はロイと友達以上の関係になるつもりはないから安心しろ」 ダニエルは頷くとヒューの隣に座った。 ダニエルとヒューの姿が、どうしても伊丹とジュリに見えてしまう。 日本にいても、アメリカに来ても、なぜこんなにも伊丹に囚われるのかと大河は苦しかった。
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