異国から愛を込めて

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夜中に目が覚めてしまい、大河はキッチンに行って水を飲もうと思った。 リビングにはヒューが寝ているので、起こさないように静かにリビングのドアを開けた。 ソファがギシギシと音を立てていて、大河はその場から動けなかった。ヒューがこちらに背を向けて座っている。だが、ヒューだけではないとすぐ分かった。 ドキンドキンと心臓が音を立てていて、大河はその音が気づかれるのではと思ってしまった。 「やめろ、ロイ」 ヒューの色っぽい声に大河はさらに動けない。 「やめて、くれッ!」 ヒューが何をされているのか大河は分かっている。 気づかれないようにリビングを出ようとしたが足が動かない。 「あッ!やめ、ろッ!」 ヒューがそう言った後、人影が動いた。ロイが立ち上がった。 薄明かりの中で、大河とロイの目が合った。ロイがフッと笑った気がした。 「ヒュー、気持ち良かった?いっぱい出たよ」 大河はそれを聞き、顔を下に向け振り向くとドアを静かに開けてリビングを出る。 放心状態のままダニエルの部屋に戻ると、タオルケットを頭から被った。 ヒューがロイにされていた事を思い出すと心がチクチクと痛む。 ヒューは抵抗していたが、ロイにされる事に抗えなかった。 自分はどうしてこんなにモヤモヤするのか分からなかった。 ヒューに伊丹を重ねて、ヒューとロイに嫉妬している自分が滑稽だと思った。 そして、もうこの部屋に来るのは辞めようと決めた。 次の日の朝、大河は朝食も食べずに帰ろうとする。 「どうしたの?タイガ。なんだか顔色が悪い」 心配そうにダニエルは言う。 「風邪を引いたかも。また後で研究所で会おう」 力なく微笑んで大河は部屋を出た。 ヒューはロイと目を合わせずにコーヒーを飲んでいる。 大河が帰るとロイがヒューに言った。 「夜中の僕たちのこと、タイガに見られたみたい。日本人には刺激強かったかな」 楽しそうにロイは言う。大河を見送ってきたダニエルが戻ってくるとロイは黙った。ヒューは昨夜のことを大河に見られたことが恥ずかしくて悔しかった。 「熱はないと思うけど、心配だな」 ダニエルはそう言ってコーヒーを啜る。ヒューは立ち上がる。 「タイガを送ってくるよ。途中で倒れたら大変だ」 走るようにヒューが部屋を出て行ってダニエルはびっくりした。 ロイは面白くなさそうに、チッと舌打ちした。 「ダニエル、ご馳走さま。僕もこれから仕事だからもう行くね。それと、もうここには来ないから。ヒューとは外でデートするよ」 ロイの言葉にダニエルはロイを睨む。 「どう言うこと?ヒューはロイとはただの仕事仲間だと言っていたけど?」 「ヒューはシャイだからね。昨日も、僕と、ね」 ロイの言葉にダニエルは真っ赤になった。 「ブラコンもいい加減にしないと、ヒューに嫌われるよ」 フフフと笑ってロイが言うと、我慢できずにダニエルはロイの頬を平手で叩いた。 「出て行ってくれ!」 ダニエルを怒らせてロイもスッキリした。 いつも自分を邪魔者のように見るダニエルが、ロイはずっと気に入らなかった。 しかも、日本人にヒューを取られてなるものかと必死でもあった。 ロイは、ヒューが自分の口の中で果てたことで優越感に浸っていた。 言葉では拒否しながらも、ロイのする事を結局受け入れたヒューを、自分の物にできると確信したのだった。
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