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約束した夜、ヒューは意を決して大河のアパートに向かった。
大河と知り合って3ヶ月以上経って、自分も大河がずっと気になっていた事を素直に認めた。
大河が自分に似た誰かをいつも追っていたことに、嫌な気持ちがあったのは、自分もその相手に嫉妬していたんだと気がついた。
大河を好きだと自覚したのは大河から告白された時だったが、ずっと大河を大切にしたいと思っていた。
「いらっしゃい」
なんとなく緊張して大河はヒューを部屋に入れた。
ダイニングテーブルに向かい合わせで座る。
ヒューを見つめながら大河は思った。ヒューに断られたら、ちゃんと諦めるつもりでいた。
「あれからよく考えたんだ。正直、タイガをどう好きなのか考えた。その時、タイガの言葉を思い出した。タイガ言ったよね?好きだった人に、抱かれたいって思っていたって」
ヒューの言葉に大河は俯いて赤面した。
「タイガを抱きしめたい、キスしたいって気持ちに、俺もなってるって思った」
ヒューの言葉に、大河はびっくりしてヒューを見つめる。
「タイガを好きだって気がついた。抱きしめたいほど、好きだよ」
照れるヒューを大河は見つめて微笑んだ。
「嬉しい。正直、時間が経ってヒューが冷静になったら、断られると思っていたから。なんか、夢みたいだ」
大河はそう言って笑うと、恥ずかしくてヒューを見れない。
「冷静に考えての結果だよ。いっときの感情じゃない」
ヒューはテーブルの上に置いている大河の手を握った。
「好きだよ」
ヒューの眼差しに、大河は幸せで溶けてしまいそうだった。
「好きだ。ヒューが大好きだ」
大河が応えるとヒューは笑った。2人は幸せに包まれていた。
「夕飯はどうする?何も準備してないんだ。外に食べに行くかい?」
大河が聞くとヒューは立ち上がる。
「スーパーで買ってこよう。2人きりで長く過ごしたい」
ヒューの頬が赤くなっていた。照れているんだと大河も分かった。
近くのスーパーで焼きたてのピザとビールを買うと、早々に大河の部屋に2人は戻った。
大きなピザを2人で平らげると、リビングのソファに並んで座った。
無言のまま手を握って、お互いテレビ画面を見ている。
大河はドキドキしながら、ヒューの手を握っている。
緊張しているのか、お互い手が湿っているのが分かる。
「タイガ」
ヒューが大河の名を呼ぶ。大河がヒューを見つめると、2人は自然な形で唇を重ねた。
長いキスが終わると、大河はヒューに抱きつく。
「大好きだよ。ヒュー。初めて会った時から、好きだった」
大河の告白に、ヒューは大河を強く抱きしめると再び唇を重ねた。
場所を移しベッドの上で、2人は抱き合ったままキスを繰り返す。
大河の服を脱がし、肌をヒューの掌が滑るように這う。
「ヒュー。気持ちいい。もっと、触って」
甘えるように大河は言う。ヒューに触れられているだけでトロトロに蕩ける。
「タイガの肌、綺麗だね。スベスベで気持ちいい」
首筋にキスをしながらヒューは言う。
「あッ!んん!」
ヒューは大河の両手を押さえて、大河の乳首を舌で舐めると大河が喘ぎだす。
「ああッ!ヒュー。くすぐったい」
ヒューの舌が執拗に乳首を攻める。
「くすぐったくないでしょ?気持ちいいでしょ?乳首もアレも硬くなって勃ってる」
ヒューの腹に、大河のモノが硬くなって当たっている。ヒューの勃起したモノも大河の腹に当たっていた。
「ヒュー。お願いだ。挿れて、欲しい」
恥ずかしそうに大河は言う。
「いいの?」
びっくりしてヒューは言う。ヒューは大河が男の経験がある事を知らない。
ずっと好きだった男に片想いだと思っていたから、まさか、経験があるとも思っていなかった。
「ヒューが嫌じゃなければ。俺は、ヒューが欲しい」
大河が言うと、ヒューは大河の腰を上げた。
ヒューにとっては、はじめての経験だった。
戸惑いながらも入り口に先端を当てると、ゆっくり挿れていく。
「ああッ!ヒュー!」
灼けつくような熱を感じながら、大河はヒューのモノを受け入れた。
「タイガ。すごくキツい。もう、入りそうにないよ」
大河を労ってヒューが遠慮している。
「大丈夫。ゆっくり挿れて。ちゃんと奥まで挿れて欲しい」
ヒューは大河の苦悶する顔が綺麗すぎて、我を忘れそうになりながらもゆっくり奥まで挿れた。
「ヒュー。嬉しい。ヒューと繋がれた」
大河はそう言ってヒューに抱きつく。
「タイガ、そんなに締めないで!我慢できなくなる」
ヒューは大河を抱きしめながら腰が動いてしまう。優しく丁寧に動こうと思いながらも、あまりの気持ちよさにヒューは腰を激しく動かしてしまう。
「ああッ!熱いよ、ヒュー。あああッ!」
ビクンビクンと大河はイってしまったが、我慢できずに腰を動かした。
「気持ちいい!ヒュー、もっと攻めて」
淫らな大河に、ヒューは興奮する。
大河の艶かしい腰使いに、ヒューも合わせて腰を振る。
「タイガ、凄いよ。厭らしい。タイガがこんなに、厭らしいなんて、ずるい」
いつもは控えめでおとなしい大河が、ベッドの中では淫らで、ヒューは狂おしいほど大河の虜になってしまった。
「!!」
ギュッと大河を抱きしめヒューが大河の中に果てた。大河は潤んだ艶かしい瞳でヒューをジッと見つめている。
「タイガ」
ヒューは吸い込まれるように、大河に顔を近づけてキスをする。
妖艶な大河をもう離せないと思った。大河の魅力に堕ちてしまった。
その夜は、朝まで大河の身体をヒューは愛し続けた。
大河もヒューを離せなかった。ずっと繋がっていたいと願ってしまった。
しかし、まさかその数週間後、大河がロイに刺されるとは思いもよらなかった。大河が刺された事でヒューは自分を責めた。
病院に運ばれた夜は、手術が終わるまで待合室で、駆けつけたダニエルと共に過ごした。
ずっとそばに付いていたかったが、仕事を放り出すわけにもいかず翌朝は出勤し、仕事が終わると急いで大河の病院に急いだ。
ICUに入っているので面会はできなかったが、今日も仕事帰りにヒューは大河の元に通う。
まさかそこで、大河が恋い焦がれていた、日本にいるはずの伊丹と会うとも知らずに。
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