秘め事

1/6
前へ
/32ページ
次へ

秘め事

大河の毎晩のルーティンは、夜寝る前の論文作成だった。 研究所時代の論文をまとめ、その研究内容が陽の目を見る事はなくても、自分の中だけでも昇華させたかった。 時計を見ると3時になっていた。 流石に朝に響くとベッドの中に入る。 目を瞑ると、毎晩瞼の中に浮かぶのは伊丹の顔だった。 スーツを着こなし、隙のない伊達男の伊丹の顔が浮かぶ。 ダメだ。 しばらくしてないせいか、今夜は、限界。 大河は熱くなった下半身に手を当てる。 「んッ!」 伊丹を浮かべながら反り勃つモノを手で扱き始める。 「んんッ!んッ!」 声を出さないように腕を噛む。 そうしないと伊丹の名を叫んでしまいそうになる。 会長。 伊丹さん。 悠介さんッ! 「!!」 ティシュの中に果てると、大河は気持ち良さに荒い息遣いになる。 目を開け、薄暗い部屋で切なくなる。 男娼時代に開発された身体が疼く。 自分で扱いて果てても身体の芯の熱が治らない。 抱かれたい。 悠介さんに。 悠介さんのモノで、めちゃくちゃにされたい。 大河は枕に顔を押し付けて、枕を抱きしめる。 満たされない欲望に狂いそうだった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

296人が本棚に入れています
本棚に追加