三夜目

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「話って何、勝川」 「うん、わざわざ呼び出して悪い」 「いいよ。最近つれないからさ、逆にうれしいよ」  学校からの帰り、俺は話があると近所のファミレスへと宮城を誘った。そうして二人が飲み物をとってくると、俺はようやく本題に入る。しかしその前に、俺は密かに深呼吸をした。 「あのな……、俺……、宮城のことが好きみたいなんだ」 「……、え?」  俺は宮城の顔を見ることなく、そう告白する。声だけしかわからないが、やはり相当驚いている様子だった。 「気持ち悪いのはわかってる。付き合ってくれとか、図々しいことは言わない。ただ、知っててほしかったというか……。黙ってるのがなんか、申し訳ないっていうか」  何を言っても言い訳にしか聞こえないだろう。しかし宮城がなにも喋らないのが怖くて、沈黙が怖くて俺は喋り続ける。 「それ、本当?」 「え?」 「本当に付き合わなくていいの?」  ちらりと目線を上げれば、なぜだか宮城のほうが耳を真っ赤に染めている。しかしその表情は、あのときと同じく拗ねたように唇を突き出していた。 「勝川は、それで満足なわけ?」 「え、いや……」 「僕は勝川のこと、気持ち悪いなんて思わないよ」  宮城が視線を動かせば、俺達はじっと見つめ合う。しかしそれは一瞬で、宮城は身を乗り出して俺の前に顔を寄せた。 「ほら、言葉にしないとわからないよ」 「いいのか?」 「とにかく、言ってみなよ」  それは悪魔の囁きに聞こえた。俺はゴクリとツバを飲み込む。こんな展開になるなんて思わかなったから、告白のセリフなんて考えてない。だからこそ、自分の気持ちに正直に話すしかないのかもしれない。 「宮城、お前のことが好きだ。付き合ってくれ」 「まぁ、最初はオトモダチからということで」  宮城はいたずらが成功した子供のように、ニヤリと笑ってみせる。その向こうに、黒い尻尾が見えたような気がした。                  完
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