二夜目

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二夜目

「ふっ、俺は女じゃないよ」  またあの夢だ、と俺は直感的に感じる。気付けば俺達は、またあの薄暗い廊下に立っていた。 「そ、そうだよな。変なこと言って悪かった。ほんと、ごめんって」  今度こそは回避しようと、ジリジリと俺は後退する。しかしそんなことはお構いなしに、宮城は一気に距離を縮めてきた。まるで幽霊の様に、すっと音もなく移動する。かと思えば、俺の目の前で見上げる体勢をとっていた。 「あ、あの……」  慌てて俺は手を後ろに隠す。力では宮城に勝つ自信があったので、これなら手を掴まれることはないだろう。しかし、俺は一抹の不安を感じる。  これは夢だから、力なんて関係ない。もし俺が心の奥で望んでしまったら……。  いやいや、と俺は頭を振る。そんなことがあるわけない。だって俺は、男になんて興味はないはずだ。ましてや、平べったい男の胸なんて。  そうは思うものの、思い出されるのはあの柔らかい感触。女のそれとはまた違った心地よさ。夢とは思えないほどはっきりと、この手が覚えていた。 「ほら、触ってみなよ」  そう言って宮城は、俺の肘あたりに手を当てる。そうしてしばらく撫でられると、全身の毛がブワッと逆立つような感触がした。それが不快かそうじゃないのか、今の俺には判断できない。  そのうち宮城の手はだんだんと下の方に降りていき、手首のあたりをキュッと掴まれる。そうして引き剥がすように持ち上げると、俺の意志とは無関係に手はダランと言いなりになっていた。  そうして俺は成すすべもなく、また宮城の胸を触らせられる。でもどうしてだろう。俺の息は乱れ、口からひっきりなしにハァハァと声が漏れていた。  俺はこの状況に興奮しているのか?  ずいぶんと長い時間をかけて、俺の手はようやく宮城の胸の直ぐ側まで近づく。そして手の平を掴み直すと、ちょうどそのあたりに胸が当たるように押し付けた。その瞬間、前回とは違った感触が手の中央部分で感じる。 「あっ……」    宮城が切なそうな声を上げた。俺は手を離そうとするが、宮城はかえって強く押し付ける。どうやら俺は、宮城の乳首を押しつぶしたらしい。 「宮城っ!」 「あぁっ! か、勝川……」  そこで俺はまた、夢から目を覚ました。
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