番外編

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「遥人君、早速で悪いんだけど今日の打ち合わせの資料を人数分コピーして綴じてもらえるかしら」 「はい。わかりました。すぐ始めますね」 この子、可愛いだけじゃなくて仕事も丁寧で確実にやってくれるのよ。遥人君はアタシが頼んだ仕事をすぐにテキパキと始めてくれる。 そんな遥人君をデレデレした顔で見つめる若に「若も早く打ち合わせの準備しなさい!」と発破をかける。 午前中は打ち合わせが3件もあり、事務所内はバタバタしていた。 初めて来る依頼者の方はアタシの姿を見ると一瞬驚くけど、そんなことは気にならない。 女装なんてしてるけど、自分が優秀な事務員だということはわかっているから。 所長に声をかけられた時は、こんなにこの仕事が好きになるとは思っていなかったわ。 穏やかすぎる日々の暮らしに、この時間があるからアタシはアタシらしく生きていけるんだもの。
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