1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
僕には気になる人がいる。
気になると言っても恋愛感情ではなく、単純に興味がある。
友達になってみたいという表現が、この感情に一番近いのかもしれない。
クラスメイトの篠宮舞。
人を寄せ付けない冷たくて暗い雰囲気。
クラスでも誰かと一緒にいるところを見たことがない。
長い前髪のせいできちんと顔も見たことがないし、声も聞いたことがない。
いつも窓際の一番後ろの席で、読書をしているか窓の外を眺めているかのどちらかで、授業を聞いているのか聞いていないのか、そもそも学校に来ているのかさえも気にする人はほとんどいない。
彼女はクラス内で空気のようであり、触れてはいけない存在だった。
そしてそれはクラス以外でもそうだ。
一度だけ彼女を駅前で見かけた事があったが、不思議なことに彼女を全く知らないはずの通行人すら、彼女を避けて歩く。
そのおかげで彼女の周りには、人混みができない。
人混みの方が、彼女を避けている……?
そんなことを考えるようになって、僕は不思議な能力を持つ彼女に接触してみたいと思うようになった。
最初のコメントを投稿しよう!