12人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
耐えに耐えてきた職場を辞めた。
毎日先輩や上司の不条理な言葉の暴力、嫌がらせをなんとか我慢してきた。
紹介してくれた人の恩もあり、簡単には辞められなかった。
せめて三年間だけでも頑張れば、きっと認めてもらえる。
そう信じて歯を食いしばってきたが
遂に体の方が悲鳴を上げた。
ストレス性の胃炎と極度の鬱状態となり、毎朝起きられなくなった。
それでも無理に職場に行くと、ある日いきなり先輩に殴られた。
「お前の所為で、仕事が遅れるんだよ!」
遅れるのはその先輩がしょっちゅう煙草休憩をとって、帰ってこないからだ。
鼻血をぬぐい、その先輩の怒りに満ちた鬼のような形相を見上げながら
もう限界だと悟った。
この狭い職場では、世間一般の常識というものが通じないんだ。
そもそも、ここの場だけの日常で凝り固まった者に、
何を言ったって、聞く耳を持てる訳がない。
僕らの周りに出来た人垣は、目をそらし、
誰ひとり庇ってくれるものもいない。
三年間ちかく共に働いてきたの仲間なのに。
喚き散らす先輩を残し、僕がまっすぐ出口に向かうと、
その大勢の人ごみが、モーゼの海のように分かれた。
そのままその日のうちに辞表を出して、
紹介してくれた人に謝罪と説明をして、僕は仕事を辞めた。
最初のコメントを投稿しよう!